仮想現実という世界の問題点

解決するためには非常に長い道のりとなる

先ほどからこれまで人類が見たことがないような世界を、現実として仮想として体験することが出来るといった話をしている。現実味がないのは当然のこと、そのような事が本当に可能となってもどのように世界に変革をもたらすのか、正直なところ見当も付かない。現実として確立されるなら見てみたいが、そうなるまでに必要となる時間と金銭という壁をまずは何とかしなければならない。

そしてもし仮にその障害をものともせずにクリアにすることが出来たとしたら、解決するのかといわれたらそんなことはない。当然ながらこの仮想現実を生み出すために必要な作業はまだ残っている。恐らく体験する世界を構築するのはそこまで難しくはない、問題は人間の意識そのものを仮想世界に飛ばすという行為についてだ。この時技術的なミスがあれば装着した人間はどうなるかというと、植物状態となって最悪二度と目覚めない可能性も出てきてしまうという、非常に危険な一面を持っている。

人類の更なる発展のためなら犠牲も問わないなどといって非人道的に開発されたとしても、それを日常生活に応用したいとは誰も思わないだろう。むしろそういった尊い犠牲があったからこそ、本来失われるはずの無かった命が助けられたかもしれないなどといったような、悲劇を引き起こすこともない。研究が進められればその先を見出すことも出来るが、人間という素体を用いる人体実験は現在の世界基準では非人道的と考えられるため、日本でそうした開発を行えるほど法治国家は甘いモノではないだろう。

ソードアート・オンラインに登場するナーヴギアは確かにゲームをしている人だけでなく、社会に新たな可能性を提示することが出来る大きな発明だと考えられるが、そうした機器が完成されるためには飛び越えなければならない問題が幾多にも存在している。

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ナーヴギア完成までの道のり

作中でこのナーヴギアと呼ばれるマシンは頭から被ることにより、そこから発せられる電気信号を脳が受信することによって視覚的に映像化することで、仮想現実の世界へとダイブすることになる。ではそれが現実に出来るのかと聞かれると、現段階では否だ。なぜかというと、人間の脳へと電気信号を流して映像を見せるなどといった技術はまだ完成しておらず、最低でも光を知覚させることだけが現代社会における技術の限界点となっている。作中で当然のように行われている技術が開発されている時点で、既に現実との技術差は明白だ。まずはその差を埋めていくことから始めなければならず、技術確信を促していくしかない。

ただそれにはまず人間の脳を解明するところから段取りを組まなければならない、というのも21世紀になってから13年ほど経過しているが、いまだ人間の脳機能についてはまだまだ未知の部分があるため詳しい解読がなされていないのだ。そのため、仮想世界を体感するには人間の脳というブラックボックスを紐解くことからスタートしなければならない。このパンドラの箱ともいうべき脳システムの開発が起点となり、いつの日にか映像や音といったものも送れる時代が到来すればようやくナーヴギアの開発が現実味を帯びてくる。

脳波を生かした研究は進められてる

こうした脳波を利用した研究は今に始まったことではない、中でもアメリカでは日本の技術よりも10年は先に言っていると言われているほどにだ。その噂を信じるならばナーヴギアのように頭部に装着することで体験できるまでにこぎつけるのも時間の問題と見て良いだろう。ただ人間の頭に直接電気信号を当てるという行為がもたらすのはとてつもなく、それこそ先に話した植物人間と化してしまう。

そうした結果も確かに危惧すべき点ではあるが、その情報を提供しているところを見るとそもそも人間の脳に電気信号を送るためにはどのような方法が現段階における現実的手段なのかというと、それは二種類ある。

1:侵襲型
脳に電極を埋め込むことで、信号を流す方法。非常に危険な手段且つ、手術を伴うため本人との同意は必須。
2:非侵襲型
頭皮に電極を貼り付けて、信号を流す方法。侵襲型よりも安全は確保されているが、この方法では実用化までの道のりは非常に遠い。

上記のような手段を用いることで仮想現実の世界へとダイブすることが出来る信号を流すことになるのだが、1.の方法は頭蓋に穴を開けて電極を付けることで、そこから大容量の電気信号を流すことになる。これだけ植物人間になってしまうのも妙に納得してしまう。では2.についてはどうかというと、安全という面では前者よりも優れているが、電気信号そのものが頭蓋骨によってパルスが妨害されてしまい、本来受け取るはずの信号ではないものになってしまうことも考えられる。

ナーヴギアはそうした危険を含まない2.の製作方式を取っているのかもしれないが、どの道脳波と肉体の五感がリンクするためには技術が足りないという事実を受け止めなくてはならない。技術的なものもそうだが、仮想世界へとダイブすることの危険性は倫理上にも問題ありだとする要素が絡んでいる。

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現実との乖離

仮想現実が作り出される技術が体系化され、本格的に見た事のない世界へと降り立つことが出来るようになったとする、それで本当にすべてが終わるだろうか。どういう意味かというと、現実の人間が精神だけを仮想世界へと移動すること、また仮想世界で培われた精神が現実の世界へと持ち越すこと、このサイクルは非常に危険な傾向にあると考える人が増える可能性もある。

また仮想世界における触覚についても考えなくてはならない。人間の精神をそのまま仮想世界へと移項することにより、疑問として持つことになるだろう『痛覚』についてだ。仮想世界にいることになったとしても、そこで受けた傷は現実の世界へと還元されないと思うか、答えるならそれは否だ。精神がそのままダイブしているということは、それは即ち例え現実でなくても受けた傷はそのまま自身に跳ね返って来るということ、医療などの現場ではともかく、MMORPGなどでこれについて対策を考えなければ、その世界で痛覚がそのまま肉体へと直接フィードバックするという過程によって導かれる答えは、死だ。そうした危険から回避するためにも仮装の精神が現実の肉体にまで影響を与えないようにする装置『ペインアブソーバ』という、痛覚緩和システムも搭載していなければならない。このシステムが搭載されていないものをつけてプレイしていれば、命を懸けたデスゲームという危険極まりない事態にまで発展する可能性も出てくる。そうなれば現実と仮想との区別が付かなくなり、現実にいるのか、仮想にいるのか、分からなくなるという人が出る可能性も否定できない。

仮想世界という未知の領域に技術的には大きな躍進を遂げているといってもいいだろう、ただそれを成し遂げるためには先に話した問題もそうだが、他にも数知れず研究過程で発生する問題も多いはず。いつの日にか自分達の知らない世界へと旅立てると夢見ることも期待されている中。今後もそうした意味でどのような展開になるのか見ていきたいところだ。いつしかオンラインゲームとしてではなく、日常生活全てにおいて、役立てる技術が確立されるのも遠くないだろう。

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