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より、皆さんが考えた短編ストーリーを投稿してください。
ストーリーの内容は日記風の物やファンタジーなどジャンルは問いませんので、ご自由に物語を作り投稿してください。
公式サイト上で掲載をされたストーリーの1話に対して、1本の苗木を運営チームから『
地球緑化センター
』に寄付させていただきます。
オンラインゲーム『LEGEND of CHUSEN -誅仙-』を通じて集ったユーザー様と運営チームが協力し、世界にたくさんの花を咲かせましょう。
No.0011
2009-02-03 幾望の月
虎龍 さん
遠くから滝の音が聴こえる。その音が次第に大きくなり、意識が蘇る。 気づけば、遠くから聴こえていたはずの滝の水しぶきを浴びていた。 あれは碧眼の野狼の群れだった。普通の狼ではない。 あれには、妖魔の魂が宿っているようだった。何とか生き延びれたのは、 のど笛に食いつかれる間際、死ぬ気で滝に飛び込んだからだった。 災難は続くものだ。そういえば、周仙人が言っていた。 手繰り寄せられるようにその前の事柄が思い出される。 「そっちに行ったぞ!」「いたか?」「見つけ出せ!」 「あやつは異形のもの!影が人のそれではない。 不審なヤツがいたらそいつの影を確認しろ。」 「法済殿が言われたとおりだ。あやつは妖魔の手先に違いない。」 「ひっとらえて、法宝のしずくにしてしまえ。」 喧騒を振り切った男は、ぜいぜいと息を切らせながらオンボロの庵に飛び込んだ。 空き家と思えたそこでは、一人の老人が、八卦を占っていた。 老人は、男に一瞥をくれると何事もなかったようにまた八卦に向かった。 「前途多難、厄災多し、大事は凶」 そうつぶやき、ようやく老人は男を見据えた。 「お前は災難に災難を重ねる凶相の持ち主じゃな。八卦にそうでておる。」 男は黙って老人を見返した。 「ほぉ。おぬし・・・、妖魔にはあらねど。妖魔に似た・・・。」 仙人は、その男に興味を持ったのか、八卦の占木を机に置き近づいてきた。 そして、男の目を覗き込んだ。 「右目は虎の目、左は龍の目か。しかし、どちらもえらく暗く澱んでおる。」 「妖魔と間違われる訳じゃ。」 男は、その言葉に反論することもなく、まだ整わない息を整えようとしていた。 「おぬし名を何と申す?わしは、周という者だ。 今はしがない占いを生業にしておるが、 これでも昔は、神仙とあがめられたこともあったぐらいだ。」 男は答えようとして機と困った。名前が出てこない。 いや名前があったのかどうかさえ思い出せない。 答えられずに黙っている男の心を察したのか、周仙人は言った。 「まあ、名前等どうでもよい。だが、ちと不便じゃな。 そうじゃの、お前の両目にあやかって今は虎龍と呼ばしてもらうぞ。」 「のう虎龍、お前は今のままではいずれ、闇の魔力に引き込まれ 妖魔に身をやつしてしまうことになろうて。」 「何も案ずることはない。強くなればいいだけだ。 強くなり、今、世人の心胆を寒からしめている妖魔を打ち砕きつづければ、 いずれ、お前の目の暗い澱みも薄れていくじゃろう。」 「その先は・・・。」周仙人は、言葉を途切れさせた。 「ぼんやりもやがかかったようじゃ。さすがのわしにもわからん。」 「さてさて、そなたの両の目のとおり、虎から龍になれるなら、 いずれ、地に伏せた龍が、空に駆け昇るごとくなるやも知れん。・・・いや、 ならぬやも知れん。」「いずれにせよ。妖魔に身をやつしたくなければ妖魔を叩く事じゃ。」 もう一度同じことを繰り返した時、庵の引き戸が勢いよく開いた。男はとっさに身構える。 「周じい。蜂仁さんが占って欲しいって。河の市で待ってるよ。」 そこに立っていたのは、年輪も行かない少女であった。 「おお小輪か。あの御仁は、吉と出るまで何度でも来よるな。 どら、いって来るとしようか。・・・虎龍よ、とりあえず青雲をめざすがよかろうて。」 周仙人はそう言って、男に背を向け、外に出て行った。 小輪は、一度周仙人についていきかけ、引き返してきた。男の目を覗き込み。 「ふーん。普通の目に見えるけどなあ。じゃあまたね。」 そういい放つと引返して、周仙人の後を追っていった。 「ホゥーホゥー」梟の鳴き声が月夜の闇に響いた。 滝の音に混じり記憶が少しよみがえる。 「・・蘭。」そのぼんやりとした影と運んできた風の香りだけをかすかに思い出す。 あれは・・・梟の鳴き声、満月の夜、飛仙観の小高い丘、 それぞれの情景がフラッシュバックする。 女、いや男、そもそも人ではなく満月に写し出された一輪の蘭であったのかも知れない。 虎龍は、その靄のかかった意識を振り払うように首を振り青雲をめざし歩き始めた。
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