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より、皆さんが考えた短編ストーリーを投稿してください。
ストーリーの内容は日記風の物やファンタジーなどジャンルは問いませんので、ご自由に物語を作り投稿してください。
公式サイト上で掲載をされたストーリーの1話に対して、1本の苗木を運営チームから『
地球緑化センター
』に寄付させていただきます。
オンラインゲーム『LEGEND of CHUSEN -誅仙-』を通じて集ったユーザー様と運営チームが協力し、世界にたくさんの花を咲かせましょう。
No.0006
2009-02-03 名の代償と廻り始める輪
霧生叢嗣 さん
「少年、名は?」 「・・・・・・・・・」 辺りに響く轟音。 雷雨に紛れ、響く悲鳴と爆発音。 顔は見えない。ただ声の主の体格はかなりの修練を積んだ者のそれであり、 声も轟音に紛れても聞き取れるほど・・・静かにだが、確実に響いていた。 偶に天空は光り、その姿を映すが少年には幽かにしか見えていなかった。 「少年、もう一度問おう。名を何と云う」 ピシャンと響く雷鳴。数秒遅れて光る天空。 ・・・少年の見た男の瞳は、深紅色をしていた。 「・・・・・・っ・・・」 少年は言葉を紡ごうとする。 だが、少年の口からは言葉にはならずヒューヒューと空気が洩れる音だけが聞こえた。 「・・・少年、言霊に恐怖を覚えるならば、文字を地に書け」 男はやれやれ、といった様子でしゃがみ込む。 異形の色をした瞳が、少年と近くなる。 「・・・ひっ・・・」 思わず後ずさりする少年。 だが、少年の手に何かがぶつかる。 「・・・?」 少年はそれをそっと引き寄せ、顔を向ける。 「う・・・・・・うわあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁッ!!!!」 ごろり、と転がった"ソレ"と目が合った少年が思わず叫んだ。 其れは 断頭された、少年とよく似た顔立ちの女性だった"モノ" ガタガタと震えながら頭を抱える少年は、この数時間で何があったのかを、 一瞬で全て思い出した。 平凡な一日が終わりそうだった、小さな裕福とは言えない集落。 "詠宿"(ヨミテ)の一族の里。 少年に名という名は無い。 あるのは詠宿という"名"のみ。 名は集落を出る者だけに付けられる。 だから自分は"詠宿"でなくなる為に、 人が家から出なくなりそうな天気の時に・・・勝手に里を出ようとして・・・ 「・・・とう、ぞく・・・が」 先刻までは恐れていた深紅の瞳。 だが、少年は涙を流し、嗚咽を漏らしながら救いを求めるように男にすがりついた。 「・・・そうだ。お前は運悪く天に見放されたのだ。賊に見つかり逃げ帰った結果が此れだ」 少年を慰める仕草をする事もなく、ただ、淡々と現状を少年に述べる男。 そうだ、この男"たち"が救けてくれたのだ。 名前だけは蔵書庫で見た。 ―――鈴幻衆――― 「"黄泉照"の者との番の鳥が早々に来なければ、我等も後悔する事になっただろう。 気付いたのがもう少し早ければ―――・・・」 ふと、男が視線を後ろへ向ける。 いつの間にか爆音と悲鳴は消え、雷雨の音だけになっていた。 「あらー・・・唯一残ったのってこの子だけなのー!?肝心な大人全滅じゃない!」 「はははっ、まーだこいつぁガキだなぁ!こんなチビが"黄泉照"の事知ってんのかぁ?」 「二人とも静かになさい。この子が怯えてるわよ」 輝く法宝が、男やその後ろを照らす。 返り血を拭きながら、少年を男の肩越しに覗き込む朱髪の女性と その女性とよく似たもう一人の男性。 更にその後ろから、獣を従えた長い白髪の女性がその二人を窘めた。 「もう全て片付いたのか?」 男はそれを平然としながら見、3人の中で他の二人を宥めていた女性に尋ねる。 「はい。一人たりとも逃さずに。・・・この子は如何致しますか」 男の少し後ろで膝を着き少年を見る女性。 その表情は少し困っているような、そんな表情。 「・・・?」 「・・・・・・この少年の処遇は帰還してからだ。たとえ幼子と言えども、 "詠宿"の生き残り。総代に聞かねばなるまい」 怖がる少年の頭を無造作に撫で、肩に担いで立ち上がる男。 「わ、ぅ・・・?」 担がれたまま、何も出来ず妙な声だけが出た少年。 その表情は、怯えと戸惑い。 「あら、何時もみたいに口封じで殺らないんですか? この子供が何を知ってるか、なんてきっとタカが知れてますよ?」 楽しげに、いや・・・愉しげにニヤニヤと嗤いながら自らの得物に手を伸ばすもう一人の女性。 「郡(コウリ)、口を慎みなさい。総代代行のお言葉です、 この場では絶対であると云う事を忘れないよう」 「あら、祝牙(シュクハ)も命とあれば殺ってたんでしょ?」 得物の柄を掴みヒュンッと音を立てて一回転させた後面白げに 武器を祝牙と呼んだ女性に向ける。 「・・・郡。貴女とは一度話し合う必要がありそうですね。 命とあれば話は別かもしれませんが、私は貴女のように 好きで人を殺すわけではありませんので」 スッと立ち上がり、長い髪をかき上げ郡を見る祝牙。 郡の後ろにいる獣が、それに倣うかのように呻り声を上げる。 ソレを切欠に、二人の間には不穏な空気が漂い始める。 「ひゃはは、二人ともおっかねぇなぁ。チビが怖がってるっつーの♪」 いつの間に移動したのか。もう一人の男は軽い調子でケラケラ笑いながら 総代代行と呼ばれた男の、少年を担いでる方の肩側に移動し、 少年の頭をガシガシと乱暴に撫でている。 「うぁぅ・・・?」 グラグラと揺れる少年の頭。だが男は構わずに上機嫌で撫でている。 「・・・沽堕(ウルキ)、その辺にしておけ。少年が何時か目を回すぞ」 自らの肩も揺れている男が、少年の頭を撫でている沽堕と呼んだ男を制する。 「ははは、邏愧(ラキ)総代代行、忠告ちと遅かったな。もー目ぇ回してる♪」 「う・・・ぅ・・・??」 段々と目が閉じられていく少年。だが、最後まで見ようとそれに抵抗する少年。 ・・・無理もない、一日にこれだけ凄惨な光景を幼ながらに体験したのだ。 今まで保ち、自分の行方を最後まで見ようとしているのが不思議な方だろう。 「・・・まぁいい、引き上げだ。本来なら総代の意思を仰がねば我等は この里に関与できんのだからな。・・・郡、祝牙、沽堕。」 邏愧が名を呼んだ途端、険悪やおどけた雰囲気も消え去り、空気がピンと張り詰める。 そして即座に膝を着き、頭を垂れる3人。 「「「はっ」」」 「・・・この少年―――」 邏愧は一度目を閉じ、一呼吸置いてから目を開き、 意識が既に朦朧としているであろう少年を見る。 次に発せられた言霊は、彼を知っている周囲を大いに驚かせ "詠宿"の少年の唯一欲しかったものをくれる・・・そんな言霊であった。 ―――・・・ と名付けよう・・・―――
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